甲状腺外来とは
甲状腺疾患の発症は、思春期から40~50代と幅広い年代に多く見られます。特に、女性においては、妊娠や出産に影響することもあり、ご心配の方も多いのではないでしょうか。当院の甲状腺外来では、小さいお子様から成人の方まで甲状腺疾患のある方やその可能性がある方、ご心配のある方の診療を行っております。
対象となる方
以下に挙げる症状がある場合は、一度甲状腺外来を受診してみてください。
- 喉(首前方部)の腫れ・しこりを指摘されたことがある
- 動悸・倦怠感・浮腫み・手の震えなどの症状がある
- 首が腫れて、食べ物や飲み物が飲み込みにくい
- 採血検査で甲状腺ホルモン値に異常が見られた
- 眼球突出
- まぶたの腫れ・浮腫み
- コレステロール値が基準値よりも高いまたは低い
甲状腺疾患について
甲状腺機能亢進症
バセドウ病・無痛性甲状腺炎・亜急性甲状腺炎
甲状腺機能低下症
橋本病など
甲状腺腫瘍
甲状腺悪性腫瘍・腺腫様甲状腺腫・濾胞腺腫など
検査について
血液検査
甲状腺疾患は、特別な分かりやすい症状がないため、適切な検査と正確な診断・的確な治療が重要とされます。例えば、倦怠感がある・イライラするなどは、更年期障害やその他の疾患でも起こり得る症状であるため、なかなか区別することが難しいとされています。また、病気の進行が穏やかであるため、病気の発見が遅くなることもあります。当院では、丁寧な問診を行った上で、血液検査を行っております。これまでに気になる症状があるけれど検査をしたことがない方や、女性の患者様のうち妊娠をご希望の方など、お気軽に当院までご相談ください。なお、さらに精密な検査や入院加療が必要と判断された場合は、連携する専門の医療機関をご紹介しております。
甲状腺エコー検査
甲状腺の大きさや病変の位置や性状を調べるために、甲状腺超音波検査(エコー検査)を行っております。診察台に横になって頂き、検査用ゼリーを塗って首全体を観察します。検査における所要時間は、約5~10分です。
この際、検査用ゼリーを首全体に塗るため、前開きの服装や首まわりが開いた服装でお越しください。検査中は、湿布・ネックレス・ネクタイなど首回りのものを外して頂きます。
甲状腺ホルモン検査(甲状腺機能検査)
甲状腺機能が正常かどうかを調べるために、甲状腺ホルモン検査を行っております。甲状腺ホルモン濃度や、甲状腺刺激ホルモン(TSH)機能を調べます。甲状腺ホルモンの過不足状態を確認するために、通常血中のタンパク質と結合している甲状腺ホルモン以外の、タンパク質と結合していない遊離型ホルモンを測定します。甲状腺ホルモンの数値に異常が見られる場合は、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症などが疑われます。
基準値の目安
TSH | 0.20~4.50µIU/mL |
---|---|
FT4(遊離サイロキシン) | 0.8~1.6ng/dl |
FT3(遊離トリヨードサイロニン) | 2.2~4.3pg/mL |
甲状腺機能異常の判定
FT3・FT4 | TSH | 疾患名 |
---|---|---|
↓ | ↑ | 甲状腺機能低下症 |
正常 | ↑ | 潜在性甲状腺機能低下症 |
正常 | ↓ | 潜在性甲状腺機能低下症 |
↑ | ↓ | 甲状腺機能亢進症 |
甲状腺の治療について
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症の治療には、薬物療法(内服)、放射性ヨードを使う治療、手術療法があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下の治療としては、不足している甲状腺ホルモンを補填する薬物療法を行います。
甲状腺腫瘍
良性腫瘍の場合は経過観察し、腫瘍が大きくなってきた場合に手術を検討します。また、甲状腺結節の場合も手術を検討します。悪性の場合は、手術を行います。
薬物療法、経過観察は当院で実施しますが、手術が必要な場合は連携病院をご紹介いたします。術後は当院で経過観察できます。